この記事の執筆者:播州ゲートウェイ(兵庫県知事登録旅行業 地域第-888号)代表・内橋伸介
”消費型の観光”から”地域資源とつながる旅”へ。ローカルツーリズムの主役・プロフェッショナルを増やしたい
一介の個人事業主の私がなぜこのような壮大な構想を抱いたのか、それを最初に書きます。
近年、リジェネラティブツーリズムやアグリツーリズムといった言葉が認知されるようになり、地域資源を守るだけでなく、次世代へつなぐという大きなテーマ性を持ったツーリズムをよく目にするようになりました。
それ自体は喜ばしい事であるし、良い取り組みであればどんどん広がれば良いと私自身は感じています。
一方で、「ツーリズム」と名乗る以上は、旅行のプロとして商品をお客様に提供する必要があります。
私はその両方ができるプロが地域限定旅行旅行業だと考えています。
それは、「地域限定」という言葉を「限定の地域でしか出来ない」ではなく、「その地域のプロフェッショナル」であると捉えているからです。
実際に地域限定旅行業を営んでいる私の知人、先輩達もそのような方ばかりです。
地域の未来のために、地域の魅力と課題を地域外の人々にも知ってもらい、地域に関わってもらいたい、一緒に地域を盛り上げて欲しい、そんな想いで活動を始めた人たちがよく当たる壁が「旅行業法」です。
つまり、その地域にお客様をお連れするために交通手段を手配したい、おすすめの宿に泊まって滞在して頂きたいとなっても、これらは旅行業の登録を受けていないと基本的にはできないわけです(自ら旅館業を営んでいるなどで、一定条件内で認められるケースもあります)。
そんな、地域を愛する心から生まれたせっかくの素晴らしい活動や事業を、旅行業をハードルに感じてあきらめたり、実現を先延ばしにしてほしくないと私は思っています(言うまでもありませんが、旅行業法を犯すようなことはあってはなりません)。
試験は1年に1回しかありません。そのチャンスを逃したら、自分がやりたい活動ができる時間が1年減ってしまうのです。
そもそも、地域限定旅行業が創設された背景には、ここまで私が書いてきたような人たちが、試験に合格し易く(試験範囲の限定)、登録し易く(営業保証金の減額)してローカルツーリズムを活性化したい意図があったはずです。
地域を愛する強い想いを持ち、法的にもきちんと認められ責任も負っている、これこそがローカルツーリズムのプロフェッショナル、地域限定旅行業だと私は考えています。
私が構想している「LoCAST」プログラムは、①合宿ツアーによる地域限定旅行業務取扱管理者試験の学習支援と実務学習、②開業準備支援、③開業後の連携を柱とし、プログラムの修了生・地域限定旅行業者をどんどん増やしてネットワークを広げ、修了生の皆さんが全国でローカルツーリズムを展開するとともに、LoCASTプログラムを二次展開、三次展開して次世代へつないでいく、そんなプログラムです。
LoCASTプログラムについて:試験対策と実務学習の合宿ツアーを起点としてコミュニティを発展させ、業界の発展と地域創生を目指します。これを「LoCAST(ロキャスト)」(商標出願中)プログラムと称します。


地域限定旅行業の魅力とポテンシャル
一介の個人事業主がここまで大ぶろしきを広げて大丈夫なのか?と笑われるかもしれません。
ですが、LoCASTプログラムは単なる仕組み、やり方であって、賛同してくれた仲間が地域限定旅行業者として独立して、同様のやり方で仲間を増やし次世代を育てていってくれたらそれで良いのです。そもそも私一人でできるはずがありませんし、私が居なくなったら終わるようなことはやるつもりもありません。
それぞれがプロフェッショナルとして地域と一緒に輝いてくれたら、それで日本全体が輝いてくれたらそれで良いのです。
前置きが長くなりましたが、ここで何が言いたかったのかというと、まず、私のように個人事業でも地域限定旅行業はできるということです。
さらに言うと、私は旅行業とは別に本業を持っているパラレルワーカーです。
「おいおい、それ大丈夫なのか?」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんので、念のためにご紹介しておきますと、「地域限定旅行業における旅行業務取扱管理者の他業種との兼任について」(観参第561号 令和3年12月23日)という通知が観光庁から発出されており、地域限定旅行業では一定の要件下で旅行業務取扱管理者の兼業が認められているのです。
ローカルツーリズムの担い手と想定された人材像についてご高配頂いた有難い規制緩和だと私は勝手に捉えているのですが、地域限定旅行業は副業やセカンドキャリアで地元や故郷に貢献する活動がしたい、起業をしたいと考えている人にとても相性が良いと思っています。
私のように副業を持つ人材はこれからもっと増えていくと思います。
そして、「どうせ副業をやるなら、好きな地域、自身の故郷、縁のある田舎のために人生の時間を使いたい」、そんな風に思う人が増えて欲しいと私は願っています。
そんな地域限定旅行業者の数は『旅行年報2025』によると2025年時点で784業者だそうです。
これを多いととるか少ないととるかは意見のわかれるところだと思いますが、1都道府県あたり平均16.7業者という計算になり、まだまだ少ないと感じるのは私だけでしょうか。
なお、2018年(平成30年)に第1回の地域限定旅行旅行業務取扱管理者試験が実施されたわけですが、その後の累積合格者数を考えると、ほとんどの合格者が登録(独立開業)には至っていないことは明らかです。
ちなみに、第二種、第三種と並んで地域限定旅行業者の登録数は都道府県のホームページで公開されているのですが、そのデータをもとに、兵庫県、大阪府、京都府、奈良県で地域限定旅行業者の数を集計すると下のグラフのようになりました。府県によって偏りがあることがわかります。
(観光資源が多いイメージの奈良県がこの4府県の中で一番旅行業者数が少ないのは意外でした。)

ネットワークで広げていくローカルツーリズムの輪
LoCASTでは、合宿ツアーに参加したメンバーが独立して自分の地域でまたLoCAST合宿ツアーを開催することで、全国に展開していきます。
これにより、地域限定旅行業者の数が増えるだけでなく、近くの地域限定旅行業者同士が連携することで、より広域のツアーを開催できるようになります。
地域限定旅行業者は、営業所のある自治体と隣接する自治体が旅行業務をできる範囲となります。
例えば播州ゲートウェイの営業所は兵庫県加西市で、隣接する8市町(加古川市、姫路市、福崎町、市川町、多可町、西脇市、加東市、小野市)が範囲となります。このため、例えば加西市に隣接しない宍粟市では旅行業務はできません。
しかし、例えば朝来市に営業所を持つ地域限定旅行業者と連携できれば、瀬戸内海側と日本海側を横断するツアーだって実現できてしまうのです。

各地域に根差したローカルツーリズムのプロフェッショナル同士が広域で連携することで、地域間の人流が活性化し、日本全体が盛り上がる。そんな未来を私は描いています。
皆さんが地域を愛する気持ちがつながり、日本を輝かせるパワーになれば良いなと思います。
播州ゲートウェイ 内橋 伸介